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9歳の壁

長年塾業界で子どもたちを見ていると、年々「考える力」が弱くなり、自立できない子どもが増えているのを実感します。なぜ子どもたちが「考える」ことを放棄し始めたのか、これまで様々な原因を追究してきました。

もちろん様々な要因があると思います。「考える」ことを必要としない便利な世の中や、テレビ・ビデオの普及による家族内での会話不足、ゲーム脳の問題、核家族化、甘やかし、放ったらかし、など枚挙に遑がないのですが、私が最終的に一番の要因としてたどり着いたのが「9歳の壁」です。

この「9歳の壁」というのはもともと聴覚に障害をもった子どもたちに対して使われていた言葉で、生まれつき耳が聞こえない子どもと、9歳を過ぎてから障害をもった子どもでは学習能力や論理的センスに差がある、という事象から言われ始めました。

「情報」には大きく分けて「ことば」による情報と「文字」による情報があります。当然、子どもたちは「ことば」による情報を、遊びの中で培われた「イメージ」と結びつけながら世の中の事象を分類し、処理します。「文字」からの情報処理はその「ことば」と「イメージ」を土台として成り立っているのですが、その土台を習得する臨界期が9歳であるとされています。生まれつき耳が聞こえない子はその土台ができないので「論理性」すなわち「考える力」がつきにくい、というわけです。

ところが近年この「9歳の壁」という言葉が聴覚障害をもたない子どもにも当てはめて使われるようになりました。

耳が聞こえていても「ことばとイメージ」が結びついていない子どもが増えているのです。その最大の要因が9歳までの「先行学習」「暗記型学習」です。特に同じ計算を繰り返し行わせる「パターン学習」は本人も親も勉強し、勉強させた気になり、一見計算力がついたように見えるのですが、小学校高学年になると伸び悩む傾向が見られます。実は、加減乗除(+−×÷)の意味がイメージされていなかったため、与えられた計算は処理できても(できたというのも勘違い)、自分では全く立式できないのです。

もともと人間は9歳までに自然と「遊び」の中でこの土台を習得するプログラムが備わっているのですが、この流れを止めるのが「先行学習」「暗記型学習」であり、それを加速化させているのが子どもたちの「遊び」の変化、すなわち「テレビ・ビデオ・ゲーム」ではないか、と考えています。

このような状況の中で、子どもたちが正常に「9歳の壁」を乗り越えるようにするためには何をするべきか?今、様々な方々がこの問題に挑んでいらっしゃいます。

我々も子どもたちに「考える力」を実践させるため、今後も試行錯誤を続けていきたいと思います!

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